等身大の箱庭

おはようございます。よく寝られましたか?

2020/5/17

こんばんは、なんと6ヶ月ぶりです。驚きですね。その間に引っ越しとか色々してたら、世間がコロナで騒いでてハチャメチャになってるとか半年前では考えられなかったね。

これは猫です、可愛いね。甘え方が強火で威厳がないです。f:id:tsukumoya99:20200517202939j:plainf:id:tsukumoya99:20200517203043j:plain

前置きはここまでにして、stay homeで暇なので新しいゲームを買った。

ec.nintendo.com

2D横スクロールアクションゲームです。見て分かる通り、全場面が古式ゆかしくも美しいドット絵で構成されています。簡略化して言えば、ストーリー性の高いスーパーマリオです。

どんな物語かというと以下の引用の通りです。

~ ストーリー ~ 国を分かつ壁が一夜で建てられたかのように突如出現し、ある男を家族から引き離した。家族に再び会うために、主人公である赤毛の男は政権が放送するテレビ番組「ウォールショー」で勝ち抜き、壁の向こう側、自由の世界を目指そうとするが… ショーが進むにつれ、主人公は政府とショーの主催者が何を求めているのかに気づいていく。約束された「自由」とは、自分の求める「自由」ではないのかもしれない…

気がつく人は気がつくかもしれないし、ページにアクセスした人は簡単。ジョージ・オーウェル著『1984』をオマージュした作品になります。金字塔的作品だろうけどジョージ・オーウェルを知らなくてもいいし、『1984』を知らなくても大丈夫。みんな大好きディストピアな世界観なんだと理解できれば十分。

このゲームの醍醐味は、周囲をよく見回すことにあります。ゲーム内では、世界を取り巻く環境について多く語られることはありません(もちろん、それがどういうことを指し示すかは明示的ですが)。主人公を取り巻く登場人物、看板、アート等なめらかに差し込まれる情報が必要なことを教えてくれます。自ら読み取っていく面白さ、趣向を凝らした小説を読んでいるかのような感覚にこそ楽しさであると思います。

世界を知るためにも目を凝らして、クリアするには注意深く読み取っていく必要があります。主人公は様々なステージを"踏破"していきます。ときには足を滑らせ、警官に殴られ、焼却炉に落ち、放射線を浴びて死にながらです。主人公への死のギミックが全編に渡って仕組まれています。これらを如何に解除し、避けていくかに知恵を絞ることにもまた謎解きのような面白さがあります。

主人公は至って善人であったし、突如として家族の仲を引き裂かれた哀れな人間でした。プレイヤーは彼を操作する中で様々な解除ギミックを行います。時にはおよそ良心の呵責、倫理というものをかなぐり捨ててまで。プレイしている自分も「おいおいマジかよ」と思っていたのに、途中まで来ると「まあ仕方ないね」と変わってしまっている。そんなことにすらプレイ中は気が付かないんです、まるで主人公のように。そういった没入感もあって総評としては買ってよかったなと思います。クリアまでに8時間程度、難易度は簡単でやりました(普通もあるよ)。

楽しいところばかり書いてましたけど、惜しいと思うようなことも多々あります。一番は操作性が良くないこと。

慣れるまでは結構シビアだと思います、ドット作品であることの功罪みたいなもんです。それに慣れた後でも手こずる場面は片手で足りるぐらいとはいえどありました。解法は分かっているのに、シビアな操作が要求されてなおかつ解法の工程が長いとか。おかげでちょっとした操作ミスを挽回できずに敢え無く「」ってのがあります。ミスはミスなのですが、もうちょい操作性が良ければと思うのがちらほら。SEKIROやってて諦めへの耐性がついた気がしてます。SEKIROに感謝、みんなも買おうSEKIRO、おはぎは大事。

話はそれますがsteam版も配信されてまして、そこだとロードで暗転するのが鬱陶しいとレビューにありましたがSEKIROのお陰か気になりませんでしたね(まだSEKIROのこと喋ってる)。実際にやってると解法のことを考えてるとあっという間ですし、switchだと本当に気にならないと思います。落ちやすいってのもsteamでみましたが、これもまたないです。プレイ中落ちることはありませんでした、Minecraftのほうがよっぽどひどい。動作テストしてるのかとさえ思う程度です。

次に惜しいのは、世界観に関する情報が乏しいかなと。散々、煽っておいて何いってんだこいつってのは重々承知です。個人的に6割ぐらいの世界観はつかめましたけど、これは『1984』を読んだことがあり骨子がつかめているからだと思います。ここで注意しておきたいのは、世界観をどれぐらい掴めたかという話であって、このゲームが面白くないという話ではありません。ディストピアという世界に興味を持った程度でも十分にゲームとして楽しむことができます。世界観が掴めないとか何とかはオタクの病気みたいなもんで、概念とかすぐ言い出したい感じの奇病を患っているだけなので本当にゲームの面白さとは何も関係がないです。

世界の謎を解き明かすとまでは行かないまでも、もうちょっと情報を公開していてくれても良いんじゃないかと思います。放映省のオマージュ元である『1984』の真理省のように、世界はもはや定かですらないということまで含めてリスペクトを示しているのかもしれません。そう考えると納得がいくような感じもします。

総評としては面白いゲームですし、お値段もそうお高くないインディーズなので片手間に遊びたいという感じで買うには持ってこいではあります。エンディングもマルチでありますし、トロコンの要素も含んでますのでどうぞこれを機にお買い求めください。

「よい放送を!」